お仕事を探される方は、フルタイムでの勤務を希望される方や、「お仕事を探しているけれど短い時間で働きたい」「家庭との両立をしたいので週に何日か働きたい」など時短勤務や扶養の範囲内での勤務を希望される方もいらっしゃいます。今回は時短勤務や扶養の範囲内での働き方について、もう一度改めて理解を深めて頂ける内容をご紹介します。
フルタイムと扶養枠内の働き方で一番の大きな違いは、「勤務時間の違い」です。
フルタイムとは「職場で定められている正規の時間帯を全時間帯勤務する働き方」のことです。
一方、扶養枠内とは「(フルタイムではなく)一部の時間帯のみで勤務する働き方」で、自身の給与が税金や社会保険の対象とならず、配偶者にも所得控除や手当などが支給されるなど、世帯年収から手取り額があまり減少しない収入範囲であることを指しています。
2種類の扶養をまとめましょう!「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」
税法上の扶養
税法上の扶養とは、扶養者(配偶者、子ども等)の給与年収が103万円以下(注※1)である場合に入ることが可能となります。税法上の扶養に入っていると、被扶養者は本来支払いが発生する所得税や住民税の一部が免除されるというものです。(注※1・・・「103万の壁・150万の壁とはいったい何!?」にて説明いたします)
社会保険上の扶養
まずは社会保険とは何かを見ていきましょう。「社会保険とは、健康保険・厚生年金保険の総称」です。健康保険の扶養となる人は、自分で保険料を支払うことなく、健康保険に加入することができます。この健康保険の扶養に入らなかった場合は、自分で保険に加入し、保険料も支払わなければなりません。扶養の収入基準額は年間収入130万円未満となります。
また特に社会保険においては所得税では非課税になるもの(失業保険等の給付、公的年金、健康保険による傷病手当金、出産手当金などの収入)も収入に入れる必要があるので注意しなければなりません。
平成29年度税制改正で、103万という金額や150万という金額をよく耳にする機会も増えましたが、結局何が変わったのか気になるところです。 今回の改正は「税法上の扶養」が対象となります。税法上の扶養である配偶者控除は、これまでは給与年収の上限が103万円でした。
しかし、平成29年度税制改正により、平成30年1月をもって給与年収の上限が引き上げられることが決定し、新たに拡大された給与年収の上限が150万円となりました。(ただし、控除を受ける人の給与年収が1,120万円超の場合は除きます。注2:解説)
平成30年の1月から12月31日までの収入からが今回の税制改正に伴い150万の壁の対象になります。
(注2:解説) 平成29年度税制改正により、被扶養者の給与年収による控除額が大きく変わりました。 これまでは、扶養に入る側の年収に注目をしていましたが、今回新しく加わったのが「配偶者控除(配偶者特別控除)を受ける側の年収上限」というものです。 被扶養者の課税所得金額が900万円(年収1,120万円)の場合、控除額はこれまでと変わらない全額となりますが、それ以上の給与年収がある場合、給与年収の金額によって控除額が減額となります。課税所得金額が1,000万円(年収1,220万円)超の場合は控除はありません。
収入の壁を理解して効率的に働こう
税法上の扶養である配偶者控除の条件が150万円に引き上げられたという点だけを見ると、103万円を超えて150万円まで働いても損をすることはないように思えます。
しかし、150万円までの間には、健康保険上の扶養である「130万円の壁」が存在します。また、新しい制度では、被扶養者の課税所得金額によって控除金額が変わるため、その点も注意が必要です。
手取り額を増やしたい!という立場で考えてみましょう
制度の改正関係なく、「社会保険に入らない」というのが一番の重要ポイントです。(※社会保険への加入は当然メリットもあります。今回は「今の手取り金額を増やすこと」に焦点を当てた場合です)
従いまして、扶養内でいられる、130万円を超えないギリギリの収入が家計での手取りを一番増やせる金額となります。 時短勤務や扶養枠内での勤務をご検討されている方は、税法上と社会保険上の扶養の壁に気を付けて条件に合うお仕事を探されるとよいでしょう。